マラソンを走り切る考え方

横浜国際女子マラソン、日本人選手にはたいへん残念な結果になってしまいました。
2位に入って日本人選手1位をとった那須川さんはたいへん満足そうでしたが、ほんとうに世界選手権を目指すのならこの成績で満足してほしくなかったです。もちろん、これまでの選手生活で苦労してきたことを考えると、日本人選手のうち1番でゴールできたことは、十分満足できることだとは思うのですけれど…。
言うの何回目かですけど、マラソンってもっとシンプルに考えたらいいと思うんです。フルマラソンを何度か経験したいち市民ランナーとしては、ランナーを車にたとえて3つのポイントがあるように思います。「ガソリンタンクを広げる」「燃費を上げる」「エンジン性能を上げる」。後ろの二つはもちろん、エンジン性能を上げることによって燃費を上げることにつながるので関連性がありますし、実際マラソンの練習をしていくと三つとも関連性は出てくるんですけどね。
で、次回の世界選手権女子マラソン出場への条件は“2時間24分を切って日本人選手1位”ですから、もちろんどっちかだけではいけないのだけれども、日本人選手が一人でも出ていれば誰かは日本人選手1位になれること、それに世界選手権に出て勝負することを考えると、2つの条件のうち優先しないといけないのは当然「2時間24分を切る」こと。だからまずは、他人がどうあれ、2時間24分で走りきれるだけの実力をつけるということが第一の目標になってくる“はず”です。そのうえでさっきの3つのポイントを考えると、少なくともみんな一流の選手なのですから、エンジン性能は十分あるはず。残り2つの「ガソリンタンクを広げて、燃費を上げる」ことになりますが、この2つのうちだと「ガソリンタンクを広げる」ことが優先される事項です。つまり、いくら燃費がよくても、2時間24分にあわせたペースで最後まで走りきれるだけのガソリンを積んでおかないと条件は満たせないというわけです。
ところが、今日の横浜国際女子マラソンでは、結局日本人選手からはそれを満たす成績を残す人は出てきませんでした。つまりこれは、自分の体の燃費に対して、2時間24分で走りきれるだけのガソリンを誰も積んでいなかったことになってしまいます。私には、目指すべき到達点を間違っているようにしか思えません。あえていえば、「“世界選手権を目指した”日本人選手には、誰ひとり勝者はいなかった」とさえ言っていいと思います。
目の前の誰かと勝負するんじゃない、高みにのぼるためにはまず時計と勝負すること。勝負の駆け引きを言うなら、目指すべき記録以上のガソリンを準備してからだと私は感じています。あえていえば、マラソンにおいては、勝負の駆け引きのために他人がガソリンを無駄に使ってくれるのは大歓迎、というぐらいなはずなのですから。

さてさて、そう言っている私も防府読売マラソンまであと1ヶ月を切っているので、しっかり教訓にしてがんばらないといけませんね。私の場合はゴールできるかどうかを争うので、勝負の駆け引きなんていうものは存在しないんですけれど。